日本と世界のフロン動向

日本と世界の
フロン動向

世界が結束して脱フロンへ

 昨今主流の代替フロン「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」は、オゾン層を破壊するCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の撤廃に伴い開発された冷媒です。しかし、近年の研究により、代替フロンはオゾン層破壊については影響は無いものの、地球温暖化係数(GWP値)が非常に高いことが判明し、現在では全世界で撤廃が進んでいます。
 
 自然冷媒ガスは、代替フロンに代わる新しいガスとして注目されており、現在、数十カ国で自然冷媒ガスが導入されています。代替フロンよりも環境に優しい自然冷媒は、アンモニア、二酸化炭素、水、空気、炭化水素などの自然界にもともと存在する物質を指します。


 世界の自然冷媒市場規模は、2023年に15億9,000万米ドルと評価され、2024年の17億米ドルから2032年までに28億1,000万米ドルに成長すると予測されています。

日本におけるフロン取扱いの状況

 日本のCO₂排出量は中国・アメリカ・インド・ロシアに次いで世界5位で、排出量の多い国となっています。現在、日本で使用されているフロンガスは、代替フロン(HFC)が主流です。なお、全廃対象のCFCとHCFCを冷媒として使用している現存の冷房・冷凍装置は、ガス補充や修理が困難なため、いずれ更新する必要があります。
 
 代替フロン(HFC)は、2050年までに排出量をゼロにすることを目標としていおり、2030年までに2013年度比で32%減(21.6百万トン)とされています。また、2025年度には冷凍冷蔵ユニットも指定製品の対象となり、製造事業者にはGWP目標値1500以下の製品供給が義務付けられます。フロン類の排出抑制を目的として「フロン排出抑制法」も制定されています。この法律では、フロン類のライフサイクル全般にわたる排出抑制対策が規定されており、業務用冷凍空調機器の使用時の管理適正化や廃棄時のフロン回収義務などが定められています。
 
 環境省では「自然冷媒促進SITE」などで情報発信しながら補助金などを設け、積極的に代替フロンから自然冷媒への切り替えの促進を行っています。

 令和6年12月13日に経済産業省から発表された、「フロン政策における最近の動向と今後の展開」では、フロン類の排出を抑制するため、以下の目標が掲げられています。
 
 2030年までにHFC冷媒の加重平均GWP(地球温暖化係数)を450程度に削減
2036年までにHFC冷媒の加重平均GWPを10程度以下に削減
 フロン使用機器の廃棄時回収率を100%に近づける
これを達成するためには、新しい冷媒技術の導入や、既存設備の改修・交換が必要不可欠です。
 
 フロン類の適切な管理と削減は、地球環境を守るために不可欠です。日本では、HFC冷媒の削減目標を設定し、グリーン冷媒への移行や漏えい防止、廃棄時の回収強化を進めています。今後、技術革新や国際的な協力を通じて、持続可能な冷媒利用の実現を目指していくことが重要です。